ガンマナイフについて、患者さんやご家族の方からの質問と、それに対する回答です。
☆治療を受ける前に聞いておきたいこと☆
普通の放射線治療との違いは?
通常の放射線治療は1〜2か月近くもかかりますが、ガンマナイフの照射そのものは1日〜数日間で終了し、しかも悪くなっているところだけに集中してガンマ線を当てるので、副作用がでにくいのです。身体への負担が少ないので、高齢の方や体力の弱っている方でも治療を受けることができます。
サイバーナイフ・ノバリスなど、他の定位放射線治療装置との違いは?
定位放射線治療装置の中でもガンマナイフは一番歴史が長く、治療法が確立されてから約50年以上経っています。その間に装置は改善を重ね、より安全に、高い精度で治療できるように技術も磨かれてきました。
他の定位放射線治療との大きな違いは、マスクとフレームを用いた2つの固定方法がある点です。患者さん一人ひとりに合った、きめ細かい治療が実現しました。そして治療精度が高く安全で正確な治療装置です。さらに新装置アイコンになってから、患者さんへの被曝量も大幅に減っています。条件にもよりますが、CTを1枚撮るよりも被曝量は少ないと言われています。
ガンマナイフ治療を受けたいのですが、どうしたら良いでしょうか?
現在の治療をして下さっている先生から、高知ガンマナイフセンター(もみのき病院)に紹介していただくのが一番良い方法です。今までの治療内容やお身体の状態について、先生から紹介状(情報提供書)を書いていただき、もみのき病院にお電話いただき、外来の予約をしてください。受診されるときには紹介状をお持ちください。診察をして、ガンマナイフが使えるかどうかを担当医が判断します。治療のことをくわしく説明いたしますので、治療を受けるかどうかはご本人が決定してください。
くわしくは
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ガンマナイフ治療は一回しか受けられないのですか ?
転移性脳腫瘍に対して、ガンマナイフ治療後に、脳の他の部分に新たな転移が見つかった場合、2回目、3回目の照射をすることは何ら問題がありません。しかし、全く同じ場所に何度もあてると副作用が出やすくなるため、照射をするかどうかは慎重に決めないといけません。場合によっては手術をおすすめすることもあるかと思われます。医師とよく相談して決めることが大切です。
費用はどのくらいかかるのですか?
脳腫瘍、脳動静脈奇形などに対するガンマナイフ治療でお支払いただく金額は、所得や年齢によって異なりますが、だいたい5〜20万円位です。高額療養費制度という国の制度があり、所得や年齢によって自己負担の金額が変わってきますので、くわしくは病院の医療相談室、ソーシャルワーカーにお尋ねください。
三叉神経痛は従来自費でしたが、H27年7月より、薬物治療で十分な効果が得られなかった三叉神経痛について、保険が適用されるようになりました。
またここで示した金額は2泊3日でガンマナイフ治療を受けた場合の、一般的なおおよその金額です。入院日数、治療内容などにより、金額が違ってきますので、あくまでも目安として参考にしてください。なお保険分の金額ですので、食事代、室料、自費分等は含まれておりません。
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外部リンク
高額療養費制度の説明(厚生労働省)
子どもや高齢者でも受けられますか?
基本的に子どもや高齢者でも治療は可能です。ただし、検査や治療中に動いてしまうかもしれないので、12歳未満のお子さんには、麻酔科医の管理のもと全身麻酔をかけて治療することにしています。
高齢者や、身体が弱っていて全身麻酔ができない患者さんでも、ガンマナイフ治療を受けることができます。これまでに当ガンマナイフセンターで治療を受けた患者さんの最高齢者は94歳でした。
放射線の影響が心配なのですが?
以前私たちは、ガンマナイフ治療を受けた患者さん20人を対象に被曝量を測定し、安全性について調査報告したことがあります。その結果は複数のショットを照射した方でも、水晶体、甲状腺、生殖腺などに被曝した量はいずれも閾値(体に影響があるとされている値)以下で問題ないという結果がでています。(森木章人他:LEKSELL GAMMA UNIT治療における患者被曝の検討 機能的脳神経外科、31:150-156,1992)
さらにガンマナイフ新装置である「アイコン」は、現在使用されている各種放射線治療装置(最新モデル以外のガンマナイフを含む)と比べて放射線をさえぎる能力は最大100倍高いことが証明されています。すなわちアイコンは他の治療装置と比べて、患者さんの被曝が圧倒的に少なくなっています。安心して治療をお受け下さい。
妊娠中の人は受けられますか?
ガンマナイフ治療時の胎児に影響する放射能はごくわずかですので、まず問題がないと思われます。しかしながら、ガンマナイフ治療計画のために必要なCTスキャン、DSAなどの検査による被曝線量を含めると、累積されるため危険性が高くなりますので、やはり控えた方が無難だと思います。
☆治療を受ける時に心配なこと☆
実際の治療時間はどのくらいかかりますか?
こちらに説明がありますので、ご覧ください。
治療の流れについて
治療は痛くないですか?
マスク固定での治療の際には、痛みは全くありません。フレームを装着する際には少し痛みがありますが、痛み方には個人差があり、あまり痛みを訴えない方もいれば、かなり痛がる方もおられます。そこで、痛みに対して当院では局所麻酔および軽度の静脈麻酔を併用していますので、辛抱出来ないほどの痛みはありません。いったんフレームを装着してしまえば、短時間で痛みを感じなくなります。また、フレームをはずす際にも少し痛みがありますが、ほとんどの場合、鎮痛剤ですぐにおさまります。
ガンマ線そのものによる痛みはありませんが、治療中の姿勢により首や背中、腰が痛いという方もいます。ベッドの高さを調節したり、ガンマプランで治療計画をする際に、なるべく負担がかからないようにしたりするなどの工夫をしています。
治療中、手足は固定されるのですか
頭にはマスク、あるいはフレームをつけますが、手足は固定されないので自由に動かすことができます。
大きな音がしませんか?
音がすることはありません。治療中には当院で用意したCDの音楽を流していますが、特にお聞きになりたいCDがありましたら、遠慮なくお持ちください。
治療中、話はできますか
隣室からモニタで医師・スタッフが患者さんを見守っており、スピーカーとマイクを通して音声も聞こえます。気分が悪くなったときなどには、遠慮なくお知らせください。
フレームを固定するネジは頭蓋骨を貫通するのですか?
髄液が漏れだしたり、脳に傷が付いたりすることはありませんか?
フレームを装着する4本のねじは、フレームが動かないようにしっかりと頭蓋骨の外板に固定しますが、頭蓋骨を貫通することはありません。したがって、脳や髄液が漏れ出すことは、まずあり得ません。しかしながら、幼児や頭の手術を受けられた方は注意が必要です。以前に頭の手術を受けられている方は担当医にお知らせください。
食事はできますか?
治療中には食事ができませんが、朝、頭部にフレームをつけ、照射前の検査が終了したあと、時間があれば食事をしていただいています。なおこの際は、頭にフレームをつけた状態ですので、少し食べにくいかもしれません。食べやすいように主食はおにぎりにしてお出しします。おかずはスプーンで、飲み物はストローで飲んでいただきます。治療が済んだ後は普通に食事や飲みものをとることができます。
髪の毛が抜けたり、変色したりしませんか
頭部全体に放射線をあてる治療のように、すべての髪の毛が抜け落ちることはありません。ただ、脳の表面近くに病巣がある場合には、狭い範囲ですが、皮膚に照射野の一部がかかるため、部分的に抜けてしまうことがあります。それでも、時期が経てば再び髪の毛が生えてきますのでご心配ありません。
治療のときには髪の毛をそるのですか?
髪の毛はそのままで大丈夫です。
副作用はどんなものがあるのですか ?
治療の直後に、通常の放射線治療の場合にみられるような放射線宿酔(吐き気、めまいなど)が見られることがあります。たいていは一時的なものです。骨髄の働きが悪くなったり、髪の毛が抜けるなどの副作用はほとんどありません。
中長期的な副作用として問題になるのは、脳が腫れたり(脳浮腫)、壊死したり(放射線壊死)といったことです。脳浮腫が発生した場合には、浮腫をおさえる薬を使うことがあります。壊死については発生率が3%以下になるよう放射線の量を調節しています。
その他に疑問の点がありましたら、ガンマナイフセンター担当医師にお尋ねください。
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