Zorro O, Lobato-Polo J, Kano H, Flickinger JC, Lunsford LD, Kondziolka
D: Gamma knife radiosurgery for multiple sclerosis-related trigeminal neuralgia.
Neurology.Oct 6; 73(14):1149-1154,2009
多発性硬化症(MS)に関連して起こる三叉神経痛(TN)、激しくて我慢できいような痛みに対する外科的治療法として、経皮的神経根切断術、定位放射線治療、顕微鏡下神経切断術がある。著者らの発表目的は、TNを伴うMS患者に対するガンマナイフ治療(GKRS)後の臨床的効果を評価することであった。
著者らは、12年間にわたり治療したTNを伴う37人の臨床的効果を評価した。TNへの最大照射線量は70-90Gyであった。患者の78%は以前の手術で効果がなかった。9人にはGKRSが初期治療として行なわれた。Follow-up期間の中央値は56.7カ月(6-174カ月)であった。それぞれの患者において、痛みの軽減は手術に参加してない内科医により評価された。
その結果、GKRS後の痛みの完解(BNI gradeⅠ)と、十分な痛みの制御(BNI gradeⅠ-Ⅲb)は、経過中のある時点において、23人(62.1%)、36人(97.3%)であった。GKRS後1年、3年、5年後の十分な痛みの制御率(BNI
gradeⅠ-Ⅲb)は82.6%、73.9%、54.0%であった。14人(37.8%)は、残存あるいは再発した痛みに対して、2回目のGKRSまたは続いての治療を受けた。8人は2回目のGKRS、5人は経皮的グリセロール神経根切断術、1人は風船による微小圧迫術を受けた。GKRS後の合併症は5.4%(新たな耐えうる程度の異常感覚の出現)であった。異常錯感覚を来した患者はいなかった。
結論として、ガンマナイフ治療は多発性硬化症に関連して起こる三叉神経痛に対して、最も侵襲の少ない外科的治療で、罹患率も低い。このような理由で、ガンマナイフ治療は多発性硬化症に関連して起こる三叉神経痛に対して満足すべき治療戦略であることが証明された。
上記の記事は高知ガンマナイフセンターが発行した「
ガンマナイフ治療最新情報」に収録されています。